ダチョウ肉が選ばれる理由 ─ ミシュランから吉野家まで ─

ダチョウ肉って、実はすごいんです



最近、お取引先のシェフから「ダチョウ肉、ちょっと興味あるんだけど」というお声をいただくことが増えました。


正直に言うと、私たちが扱い始めた頃は「変わり種の肉」という位置づけでした。それが今や、ミシュランに載るような銀座のお店から吉野家さんの「オーストリッチ丼」まで、幅広い業態で使われるようになっている。業界では「第4の肉」なんて呼ばれ方もしています。


今日は、この赤身肉のこと、現場目線でお話しさせてください。



まず、数字で見てもらうのが早いです



100gあたりのカロリーが92〜115kcal。和牛のもも肉が121〜246kcalなので、ざっくり半分。脂質に至っては、和牛が4〜17gなのに対してダチョウは1g前後です。


それでいてタンパク質は牛肉と同じくらいしっかり入っていて、鉄分は和牛のほぼ倍。タウリンも牛・豚の4〜6倍あります。



「身体にいいものを出したい」と考えているお店にとって、これだけ数字の揃った肉はなかなかありません。30代〜50代のお客様は、健康のことを気にされる方も多いですから、メニューに一品あるだけで響くと思います。



味は、上品な赤身



色は鮮やかな真紅の色。クセや臭みはほとんどなく、赤身そのものの旨味と、ほんのり甘みがあります。「脂で食べさせる肉」ではなく、「赤身で勝負できる肉」というのが一番近い表現でしょうか。


部位ごとに性格が違うので、簡単にご紹介します。



モモ ── ダチョウ肉の特徴が一番感じられやすい部位。初めてのダチョウ肉ならなら、まずこれ。


フィレ ── 繊維がきめ細やかで上品。柔らかさで勝負する一皿に。ステーキ、ローストに。


ドラム ── 一番旨味が感じられやすい部位。レアかつ、タタキなどに。


スジ、スジ付きブロック ── そのままだと硬いですが、じっくり煮込むとコラーゲンが溶けて、いい煮込み料理になります。



ただし、焼き方には注意です



ここが一番大事なところなので、お伝えさせてください。


ダチョウ肉は脂が少ないぶん、火を入れすぎるとあっという間にパサつきます。「茹でれば柔らかくなるだろう」と思って茹でると、むしろ硬くなる。これは他のお肉と決定的に違うところです。


数字で言うと、オーブンで焼いた場合と茹でた場合では、肉の硬さが3倍くらい違ってきます。


狙うのは中心温度55〜58℃のミディアムレア。これより上げると、肉の中の水分が一気に出ていってしまいます。


おすすめは、低温調理で57℃・60分入れてから、表面だけ強火でサッと焼く方法。これがいちばん失敗しません。フライパンで焼く場合も、必ず常温に戻してから。焼き終わったらアルミホイルで5〜10分休ませてあげると、肉汁が落ち着いてジューシーに仕上がります。


マリネする場合は、バルサミコ酢やオイルに漬けると組織が緩んで、しっとり感が増します。



飲み物との相性も面白いです



ワインなら、ピノ・ノワールやシラーあたりのライト〜ミディアムボディがよく合います。脂が少ない肉なので、タンニンが強すぎると渋みばかり立ってしまうんです。


意外に思われるかもしれませんが、日本酒との相性が抜群にいい。赤身肉と鉄分の多いワインを合わせると、たまに生臭く感じることがありますよね。あれは肉の鉄分と飲み物の鉄分が反応している現象なんですが、日本酒は造る過程で鉄分を徹底的に取り除いているので、その反応が起きない。


和食のお店でダチョウのタタキを出されているのは、こういう理由があるんです。



もうひとつ、これからの時代の話を



ダチョウは、1kgのお肉を作るのに必要な水が牛の3分の1、土地は50分の1で済みます。げっぷでメタンガスを出す動物でもないので、環境負荷もぐっと低い。


おまけに、穀物ではなく牧草を中心に食べて育つので、人間の食料と取り合いになりません。


「サステナブルなメニューを出したい」というご相談も最近よくいただきますが、ダチョウ肉を一品入れるだけで、お客様に語れるストーリーが一本できます。



最後に



ダチョウ肉は、もう牛肉の代わりではありません。


身体に優しい、味もしっかりある、火入れさえ気をつければ扱いやすい、おまけに環境にもいい。これだけ揃った素材は、業態を問わず、お店の差別化のきっかけになると思います。


「ちょっと試してみようかな」と思っていただけたら、ぜひお気軽にご相談ください。サンプルのご用意も、調理アドバイスも、いつでも対応いたします。






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